キッチンに立って、何を作ろうかとしばし、考える。 誰かのために、好きな人のためにご飯を作るなんて、久しぶりだ。 『美味しい、美味しい。』と、笑顔でいつもあたしが作るご飯を、あの人が最後に食べてくれたのは、いつだったっけ…? そこだけすっぽり抜け落ちた、記憶。 曖昧な記憶は、たぶん、曖昧なままがいい。 今のあたしには、少なくとも今は、隣にあらたが居てくれるのだから…。 それが束の間の慰めでも、構わない…。 .