ぼーっとしていたら、 「あんず。」 ふいにあらたがあたしを呼んだ。 「ん?」 上の空で返したあたしを、後ろから抱きしめてくれる。 「寒く、ないか?」 「ん。大丈夫。ありがとう。」 あらたに抱かれたまま、少し振り返る。 そんなあたしの頬に頬を寄せて。 「ほら。見てみ。夜が、開ける。」 ゆっくり昇ってきた朝陽が、あらたの横顔を照らす。 端正な顔だち。 長い睫毛。 この瞬間、あらたはあたしの、もの。 .