「あらたの香りがする…、冷たく澄んだ香り…」 抱き締めたブランケットにはあらたの香りが染み込んでいて。 あらたに直接抱き締められるよりも、なんだかドキドキする。 ものを通じて香るにおいは、あらたの存在を一層際だたせる気がする。 それはあらたが決してあたしのものにはならないことを示しているようで。 切ない。痛い。哀しい。 そんなマイナスの感情があたしを飲み込んでゆく。 .