「あんずがぐずぐずしてっから、もう五時になったじゃねーか。」 ほら行くぞ。 どかどかとベッドルームに入ってきたあらたはその勢いのまま、あたしの手のひらを掴んだ。 しっかり繋がれた手は、くすぐったくもあたたかい…。 エレベーターに2人で黙って乗り込んで。 繋がったままの手で一緒に階下のボタンを押した。 ドアが閉まるとそこはもう、あたしたちだけの世界で。 この小さな空間に、いつまでもいつまでも居られればいいのに。 2人、一緒に…。 .