発作でさえも、

「はい、ここ」

「え?」

「壁側譲ってあげるって言ってんの」



ぽんぽん、空いたスペースを叩いて、眠そうな三白眼が私を見上げる。妙な色気を孕むその双眸はいつも私の心臓をどろりと溶かそうとする。



「…虫、退治できなかったの?」

「んなわけ。いいから早く」

「え……っぎゃっ!」

「はっ、可愛くない声」


じろりと眼前にある綺麗な顔を睨む。あろうことか朝里くんは会話の最中で私の腕を引っ張って、まんまと私はベッドに引き摺りこまれてしまった。


シングルベッドに2人も寝れば狭いのは当たり前で、距離を取ろうにも取れない。

鼻先が触れあってしまいそうな距離で、視線を絡め取られる。


「うそ、可愛いよおまえは」


どろりどろり、甘く緩やかに私の心を溶かしてく。


「絶対寝ぼけてるじゃん」


そう言うも反論はなく。代わりに聞こえてきたのはすうすうと気持ちよさそうな寝息で。


「…もう、」


いつもいつも私だけ振り回されてるみたい。少し悔しさを感じながらも、朝里くんの普段より幼い寝顔を見ていたら何もかもどうでもよくなって。気づけばふわふわ、気持ちの良い綿に身を任せるように眠りへと落ちていった。