「チャイム鳴らしたんですけど、聞こえなかったみたいで」

とりあえず、律さんに上がってもらった部屋。

ソファーに座った律さんに紅茶を出した。

「あぁ、掃除機かけてたのと、イヤホンで音楽聴いてたので」

「そうだったんですね。あなたは、どんな音楽が好きなんですか?」

律さんが座るソファーを挟んで置いてあるローテーブルに置いた紅茶からは、ゆるく湯気がたっている。

「…あ、良かったら、聞いてみます?歌詞がすごく、ステキで」

テーブルを挟んで、ラグの上に座ったまま、イヤホンをさしたスマホを、律さんに差し出した。

と、とんとん。と、自分が座るソファーの余白を軽く叩く、律さん。

「一緒に、聴きましょう」