「少し早かったんですけど、来ちゃいました。あなたに早く、会いたくて」

あまりにさらりと言ってのける律さんに、急に恥ずかしくなって、玄関に突っ立ったまま、固まった。

耳に片方だけささったままのイヤホンからは、甘いラブソングが流れている。

微笑み続けながら、私を見つめる律さん。

「…っ…、わ…たしも、です」

まっすぐに律さんを見られない視線は、右往左往している。

「気が合いますねぇ?」

くすりと笑う、余裕の笑顔。

あぁ、なんだかもう、翻弄されている。

でも、その翻弄もなんだか、嬉しい。