男だとか女だとか、

年上だとか、年下だとか、

そんなことはどうでも良くて。

ただただ、あなたと一緒に他愛もない話をして、傷ついたら慰めたり慰められたりして、何でもない1日を一緒に、過ごしたいんです。

「オレの手は、こわい、ですか?」

不安そうに揺れているのは、律さんの声で。

「こわく、ないです。ちっとも」

その不安に被せるように出たのは、他の誰でもない、私の声。

不安なことは、正面切って、聞いていいんだ。

それは、初めての感覚で。

「良かったー」

心底ほっとした笑顔を見せる律さん。

じゃあ、仲良く毎日を過ごしましょう。

差し出されたのは、律さんの右手。

戸惑っていたら、

「握手、です。よろしく、の」

そっと差し出した私の右手は、律さんの右手にそっと握られた。

律さんの優しさが溶けて、私の体に入ってくる。

優しく、ぬくい温度とともに。