「でかい声出して、威嚇してんじゃねーよ。そんなことしないと、誰もそばにいてくれなかったなんて、可愛そうですね」

「…あぁ?!どういう意味だ!!」

「彼女は「モノ」じゃ、ありません。意思を持った、ひとりの人間です。彼女の人生は彼女のもので、誰にも操作できません。痴話喧嘩?痴話喧嘩でこんなに暴力を振るう人をオレは知りません。だいたいが、男だとか女だとかの前に、無抵抗の人間にこんなに暴力振るうなんて、あんた人間じゃねーよ」

「コイツは、俺の持ち物だ。俺がどうしようとあんたに関係ないだろ。結婚してんだ。俺が食わせてやってんだ。言ってもわかんねーなら、叩いて分からせるしかねーだろ。動物と一緒だ。躾けだよ。躾け」

言い合う2人を、ただ眺めていることしか出来なくて。

無力で、何もできない、役立たずな、私。