「ここに、いたい。もう、あそこには戻りません。私は私の為に人生を、送りたい…自分の本当にやりたいことをやって、シアワセになります」

「お前に、そんな選択肢はないんだよ。黙って俺の言うこと聞いとけ!!」

部屋の中央にある、小さなソファーを蹴飛ばして、出された大声に、体がすくんだ。

座り込んだ私に目を合わせて、いちど大きく、柔らかく微笑んだのは律さんで。

そのまま、私に背中を向けて立ち上がった。

まるで、あの人から私を隠すように。

その背中は大きく、優しくみえる。

まるでさっき、ふたりでみた、夕陽みたいに。