向かい合って、見つめ合う。

時計を確認しなくたって、わかる。

律さんの両目から溢れる、涙。

律さんの心の奥まで触れる、数分間。

この時間が、律さんの気持ちの奥深くまで知れる時間だと思っていたけれど。

もうそれは、この、涙の時間だけではない。

とっくにお互いを見せ合って、晒し合って。

私と律さんの間に、隠さなきゃいけないことや、隠したいことは存在しない。

この世界に『運命』を、分けた人がいるのならそれは、間違いなく律さんで。

律さんの、『運命』も私で。

それが叶う、明日。

涙を流しながら律さんは、ふんわり笑っている。

それははじめてのことで。