No rain,No rainbow

律さんがお湯をいれておいてくれたバスタブに、ゆっくり沈み込む。

バスタブのお湯が、バスルームの灯りを受けて、きらきらと光っている。

そっと目の前にかざした、両手。

ふたりで選んだ、いちごシロップ色の爪先。

お湯に濡れて、一層きれいに輝いている。

あとは、ラインストーンとシールを貼っておしまい。

このネイルが、時間が経って剥げてしまって、汚くなってしまったとしても。

それは、律さんと、毎日を過ごせた証拠、で。

きっとそれは、とてつもないシアワセに溢れている。

そのことに、気がつけたことこそが、なによりの、シアワセ。