No rain,No rainbow

「爪を仕上げちゃう前に、シャワーに行ってきます」

赤い頬を隠したくて、立ち上がった。

「行っちゃうの?」

律さんの目は、憂いを帯びている。

そんな顔は、やっぱりズルい。

「…だって律さん、先にシャワーしちゃうから…」

「あ、いっしょに入りたかった?」

「……、」

その目は、早くもからかいの色を帯びている。

「…じゃあ、明日はいっしょに入りましょう」

いいですか?

照れ隠しで重ねた、私の言葉。

「ほほぅ。大きく出たねぇ?」

余裕で笑う、オトナがひとり。