No rain,No rainbow

ゆっくりと振り返る。

律さんの腕は、私を抱きしめ続けている。

「詩さん」

私を呼ぶ律さんの声は、うつむいていた私の顔を、あげさせるチカラを持っている。

顔を上げたら、優しい色をした律さんの目と目があった。

「どこへも、行かないから。ずっとずっと、あなたのそばにいるから」

あなたはいつも、素直に気持ちをぶつけてください。

なにがあっても、何が起こっても。

いっしょにいましょう。

差し出された小指。

ゆっくり絡ませた私の小指は、律さんの小指で強く結ばれる。