No rain,No rainbow

「どうしたの?」

優しく、後ろから抱き締めてくれる腕。

Tシャツ越しに伝わってくる、律さんの心臓の音。

きっと、私の背中からも心臓の音が響いているだろう。

ぴったりとくっついた体と体が嬉しくて、私に巻き付く律さんの腕に顔を埋めた。

「…律さんが好きすぎて、いろんな感情が、襲って、きて…」

「…詩さん、こっち向いて?」

優しい声音は相変わらず。

その声は、いつも私を導いてくれる。