No rain,No rainbow

「これで完成?」

私の爪の先を優しく撫でながら、律さんが聞いた。

「いえ、あとはシールを貼って、ラインストーンを乗せたら完成です」

ふたりで選んだネイルシールは、白や淡いピンクのチューリップのカタチのシール。

律さんに、相談しながら貼ろうと思って。

少し横を向いたら、頬と頬が触れそうな距離が、くすぐったい。

相変わらず香る、ボディーソープのやわらかなかおり。

律さんの熱と漂う香りに、持っていかれそうになる、感情。