No rain,No rainbow

「……、」

私を真っ直ぐに見つめてくれた、律さん。

「…伸、向こう向いてろ」

橘さんにいちど、視線を向けてそんな風に命令した律さん。

「はいはい。お安いご用で」

橘さんが、律さんと私に背を向けた瞬間のこと…

ふいに隣に座る律さんが、私の腕をひいた。

声を出す間もなく、そのまま強く、抱きしめられた。

「…死ぬときは…、」

「…え…?」

耳元で、律さんの低い声がする。