No rain,No rainbow

「…それだ…」

突然つぶやいた、橘さん。

「「…え…、」」

今度は、律さんと私の声が揃った。

「No rain,No rainbow って、知ってます?」

橘さんに聞かれて、ゆっくり首を横に振った。

「ハワイのことわざなんですけど。『雨が振らなきゃ虹は架からない』って」

もし、嫌なことがあっても、そのあとには必ず、いいことがある。

微笑んだ橘さんは、律さんと私を見つめた。

「まるで、ふたりのことを言っているみたい、じゃないです?」

にっこり笑って、言ってくれた。