No rain,No rainbow

「…わー、仲いいなぁ」

いいな、いいな、

なんて、横目で律さんを睨む橘さんの棒読みの発言がまた、可笑しい。

「うち今、コーヒー切らしてんだよ。だからコーヒーみっつ、おねげーしやすだ」

ちっとも悪く思ってなさそうな、橘さんの口調。

「だっから、なんでオレが買ってくるんだよ。オレらは客だろ」

くだけた律さんの口調も新鮮で嬉しくなる。

「泉さんはお客さまだけど、おまえはただの親友だろ」

文句言ってねーでさっさと行ってこい。

お財布から、千円札を取り出して、律さんに渡しながら言う、橘さん。

「……、」

律さんが黙ってしまったのは、橘さんの口から出た、『親友』が嬉しかったからだろう。