「さ、行きましょう」

差し出されたぬくい左手は、当然のように、私の右手をあたためてくれる。

これから寒い季節がやってきたって、なにか、ふたりに問題が起こったって。

当たり前に私を導いてくれる、左手。

ふふふ。

思わず漏れた、私の笑い声。

「なにが可笑しいの?」

問いかける律さんの声も、笑っている。

穏やかな笑い声に満ちた、遅い午後。

律さんと過ごせる、シアワセ。