「…シアワセがふたつも重なったら、か」

あなたはそんな風に、言ってくれるんですね。

少し、笑ってくれた律さん。

そのことに、大きな安心感を覚えた。

「そうです。律さんの誕生日と、結婚記念日がいっしょだなんて。これ以上のシアワセは、ないです」

気がつくと、穏やかに笑っている。

想像しただけで、素敵な1日になる。

これから死ぬまで。

律さんと私の大切な1日になる。

私を見つけてくれた、律さんと。

そんな律さんに出逢えた、私の。

これ以上のシアワセなんて、存在しない。

言い切れる、素敵な1日になる。

「詩さん」

私の名前を呼んでくれた律さんは、そのまま私をふわりと抱きしめてくれた。

「ありがとう。いっしょにいてくれて」

「こっちのほうが、です」

目を合わせて笑いあう。

律さんと私の雰囲気は、やわらかで優しい。

これで、いい。

これ以上は、ない。