「12月5日、にしたいんです」

「……、」

律さんの沈黙が、時を満たしてゆく。

「…それ、は…」

やっと返事を返してくれた律さんに、

「はい」

私が答えに詰まったときに、いつも律さんがしてくれるように、私もたったひとこと、返事を返した。

律さんが、不安なく喋り出せるように、いつまでだって、待とうと思った。

「…詩さん…」

私の名前を呼んでくれた律さん。

その左手が、何かを探すように宙に舞った。