No rain,No rainbow

「…あなたは、ほんっとうに、」

あ、困らせてるな。

もしかして、怒らせた?

マイナスな感情が、頭を出しかけたとき。

「詩さん」

下を向いて、自分の靴先を見つめる私に、律さんの声が穏やかに私を呼んだ。

その声音に安心して、そろそろと顔をあげたら、

私の方へ身を乗り出した律さんから、キスが落ちてきた。

「…ん、っ…」

思わず声が出るほどの、熱いくちづけ。