No rain,No rainbow

「着きましたよ」

律さんが、ギアをパーキングに入れる音が響いた。

メガネの横顔は、やっと私だけを見つめてくれる。

そのことに、とてもほっとして。

「私、」

「はい」

ひとことで区切った、私の言葉の続きを、穏やかに待つ律さん。

「律さんのメガネ姿も、穏やかな運転も、おしゃべりしながらのドライブもはじめてのことだらけでとても嬉しいし、楽しかった、けど」

「けど?」

少し、首を傾げながら、返事を返してくれた律さん。