「名刺、出せよ。持ってんだろ」

今度は、立ち上がって、座り込んだ店長に強い口調で詰問する。

「…いや…あの…」

小さな声でぶつぶつ言っていた店長は、

「出せって言ってんだろ!!」

気迫に押されたのか、諦めたのか、素直に財布から名刺を抜いた。

「大澤和樹、ね。オレあんたの顔と名前、覚えたからな。意味わかるよな?んで、彼女は明日からもあそこで働きたいそうだ。あんたがすることはただ一つ、だ。警察に突き出されるかどっちか、選べ」

それでいいですか?私に優しく問いかける。

未遂だったし、警察呼んだりしたら仕事もしづらくなる気がして。

はい。

一度、頷いた。

「だ、そうだ。良かったな。彼女が優しいひとで」