諦めて、目を閉じた時、唐突に体にのしかかっていた重みが取れて、びっくりする。

再び目を開けた時にいちばん最初に目に入ったのは、床に転がる白いビニール袋と、ビニールから飛び出したであろう真っ赤な林檎。

そばには頬を押さえて座り込む店長。

その側に仁王立ちになってるのは、林檎の、ひと。

「嫌がってんの、わかんねーの?」

最悪だよ、あんた。

低い声で、呟いた。

「コイツ、誰ですか?」

今度は私に向けられた問い。

「…あの…、職場の、店長、です」

「職場って、もしかしてあのドラッグストア?」

ちいさく、頷いた私に。

「あなたは明日からも、あそこで働きたい?」

うずくまった私に目線を合わせるように、しゃがみこんで聞いた。

「…あの…出来れば…働きたい、です」

「おっけー」

それでいい。と、言うみたいに、軽く頷いた林檎のひと、