No rain,No rainbow

バックミラーを確認しながら、ゆっくり車をスタートさせた律さん。

見たことがない、黒い縁のメガネをしている。

「律さん、メガネ…」

「あぁ、運転するには少し、視力が足りなくて。安心して?あなたのことだけはちゃんと見えてるから」

飄々とした、表情の律さん。

見慣れないメガネ姿が、カッコいい…

「…あ、あぁ!この車、どうしたんですか?」

煩悩を振り切るように、律さんに問いかけた。

「車を借りに行こうと思って。あなたはまだぐっすり眠っているし。見学に行く、式場と式場がなにげに離れているし」

終わったら、あなたとドライブでも、と。

で、レンタカー店に向かって歩いていたら、偶然、向こうから藤城さんが歩いてきて。

軽く挨拶をして、世間話をしてて。

あなたとの今日の予定を話して、レンタカーの話しをしたら、

「良かったら、俺の車を使ってください。俺、今日、車使わないんで」って。