No rain,No rainbow

「さぁ、もうほんとにちょっと。間に合わなくなっちゃうんで、急ぎましょう」

ごはんを食べ終えて、急いで身支度をして、手を繋いで玄関のドアを開けた。

渡り廊下を出たら、アパートの前に1台の車が止まっている。

水色の、平べったい形のレトロなSUV。

当たり前のように、車のカギを開けて、助手席のドアを、あけた律さんは、

「どうぞ」

私に促した。

「…え…?律さん、車持ってました?」

ぽかんとしたまま、突っ立っている私に、

「時間がないから、とりあえず乗って?運転しながら説明するから」

そんな律さんの言葉に、とりあえず車に乗り込んだ。