No rain,No rainbow

「今日は、式場見学に行くって昨日、約束してたでしょう?」

ふたりで最終的に絞った、2件に見学に行く予定で。

昨夜の律さんにほだされて、すっかり忘れていたことは、ここだけのはなし。

「…あー、ああ!そうですよね」

動揺しながら返した私。

「ん?もしかして、忘れてました?」

冗談ぽく、細目で私を見つめる律さん。

「…や、やだなー、忘れるわけないじゃないですか!」

「ほんとかなー?」

言いながら、私の顎を軽く掴んで、変顔をさせる律さん。

「…ほ、ほんとれすって…!!」

そのまま、私の顔に顔を近づける。

長いまつ毛や、優しい目の奥。

キレイなカタチのそのくちびるに、思わず見惚れる。