No rain,No rainbow

「…好きな相手だと、寝癖さえも愛おしいんですねぇ」
 
はじめて知りました。

カフェオレが入ったカップをテーブルに置いた律さんは、そのまま私の髪の毛の毛先をくるくると自分の人差し指に、器用に巻いている。

「そんなに寝癖、ついてます?」

そういえば、起きてから鏡すら見ていない。

起きてから、見ていたものは律さんの笑顔、だけ。

「結構、ついてますねぇ。でも、あなたの隙を見られるのは、オレだけでしょう?」

それだけで、嬉しいです。

律さんの穏やかな声がする。

そっか、でも。

「昨日の夜の律さんが激しかったから、です、ね」

いつものように、当たり前に答えた私に。

「…あなたってひとは、ほんとに、もう…」

もう、お決まりになった、律さんの返答。