No rain,No rainbow

ほの暗い部屋の中。

絡まったままの、律さんと私のてのひら。

その右手と左手を頭の上に、かざした律さん。

絡まった、私の右手と律さんの左手。

律さんの薬指のリングが月明かりを受けて、きらきらと光っている。

その明るさは、私たちを明るい方へ導いてくれる。

ふたりでいられれば、なにもこわくはないと。

たとえ、誰かにとても酷いことをされたり、後ろ指をさされても。

この世界に、律さんがいてくれれば、それだけで生きて行けるのだと。

そうしてそれはもう、必死で願わなくてもいいのだと。

こんなに優しい世界があっていいんだろうか?

でもこれは、他の誰にも作ることができない、律さんと私だけの、世界。

ぬくくて、優しい、世界。