No rain,No rainbow

「どれから見ます?」

まるで、トランプでババ抜きをするみたいにパンフレットを広げてみせた、律さん。

ふふふ。

嬉しくてくすぐったくて、真ん中の1冊を抜き取った。

「あ、この式場、あのブライダルフェアのとこですね。この写真も律さんが?」

「あぁ、これ、そうです。オレの写真です」

穏やかにうなずく横顔。

「律さんは、どうしてカメラマンになったんですか?」

その横顔に問いかけた。

「ん?…確かなものが、欲しかったから、かな」

ローテーブルに顎を載せて、私を見上げた律さん。

確かな、もの…

「そう。何かモノでも、ひとでも。写真は嘘をつかないでしょう?そのままを淡々と写してくれる」

どんなに着飾っていても、レンズを通せばそのひとの素が、わかるんですよ。