No rain,No rainbow

いちど、体を離した律さんは、私を強く、見つめてくれた。

私の右手を持ち上げて、手の甲にくちづけた。

まるでそれは、誓いのキスのようで。

こんなに優しい瞬間は、他に、ない。

「ほんっとに、あなたは優しいですね」

律さんの声が私を包む。

「それは、いつも。律さんが優しいから、です」

囁いた声は、ちゃんと律さんを包んでいるだろうか。

そんな私の杞憂さえ、

「もう、好きで好きで、仕方がないです。あなたが」

そんな言葉で吹き飛ばしてくれる。

お互いがお互いを、想い合う。

そんな当たり前のことをできる相手に出逢えた、シアワセ。