「…けっこん、しき…?」

「そう。結婚、式」

当たり前のような、律さんの声音。

「…ええっと、私、と、律さん、の?」

「何を、びっくりしてるの?あなたとオレ以外にいないでしょう?」

ちいさなソファーで並んで座っている。

目の前のローテーブルには、律さんが、淹れてくれた摺りりんご入りの、アップルティー。

「…あ、えっと、私2回目、だし…」

躊躇する私に、

「結婚が、でしょう?」

少し首をかしげて、問いかけた律さん。

「…いや、そうです。けど…」

「結婚式、したかったんでしょう?」

「いや!あんなひととは、しなくて良かったです!!」

「…おー、びっくり、した」

突然出た私の大声に、目を白黒させている律さん。