抱き寄せられて、気がつくと律さんの腕のなかにいる。

ぬくい体温は、どこまでもぬくくて、安心する。

このぬくい温度が、これから先も確実に私を包んでくれるなんて。

そうして、この優しいひととずっといっしょにいられるなんて。

シアワセの中に、頭の先から、つま先まで浸かっているみたい。

「あー、なんかもっとカッコよくプロポーズ、するつもりだったのに」

ほんとうは、ちゃんと花束とか買って…とか、考えてたのに、どうしても今、言いたくなっちゃいました。

頬杖を、つきながら私を見つめる律さん。

「十分すぎるくらい、素敵なプロポーズでした」

私も律さんを、まっすぐに見つめた。

心が通うってたぶん、こういうことだ。