No rain,No rainbow

「…すごい偶然、ですね…」

「…そうですねぇ…」

雨の中、思わず2人、立ち尽くす。

「…あの、じゃあ、ありがとうございました」

ぺこり、と頭を一度下げて私に、傘を返して走った林檎のひと。

私も、部屋のドアを開けて振り返ってみる。

あ…、

林檎のひとも振り返っている。

一階の左端。

なんと、階数と部屋位置まで一緒だ。

何となく、2人で吹き出して。

バイバイ。

少し、手を振ってくれた、林檎のひと。

バイバイ。

私も手を振って部屋のドアを開けた。