No rain,No rainbow

エレベーターが地上に降りるまでの、ほんの少しの時間は、この世界に存在しない時間のようで。

誰も知らない、私と律さんだけの秘密の時間。

夜中の闇の中に溶け込んで、誰からも見えなくなる。

「…離しませんよ?何があっても」

力強い、律さんの言葉と私を抱く腕。

すべてを委ねていい、安心感。

「…ん…っ…」

貪るようなキスは、幸福感をもたらせてくれる。

エレベーターが地上についたことを知らせる音とともに、やっと離れたくちびる。

「エレベーターの中でくらい、したいようにキス、していいでしょう?ずっと我慢してたんだから」

律さんの囁きが耳に落ちる。