No rain,No rainbow

「…行かないで…あらた…」

その響きは、痛切で。

「…どこにも、行かねーから、安心、しろ」

一言ずつ区切られた藤城さんの言葉。

藤城さんの目が少し、優しくなっている。

「…あらた…キス、して…?」

突然の、あんずさんからの言葉に、一時停止している藤城さん。

「…あとでしてやるから、とりあえず、ほら…」

ごにょごにょと、濁しながらあんずさんの手を手首から外そうとしている。

「今がいいんだもん。今してくんないんだったら、もう、あらたとキスしないー」

なんて、ごねるあんずさんは、可愛らしい。