No rain,No rainbow

「もー、お前は寝とけ」

ソファーに倒れ込んだあんずさんに、ブランケットをかけてあげようとした、藤城さん。

「…あらた…好き…だい…すき…」

確実に、意識を失う寸前のあんずさんから出た言葉は、藤城さんの動きを止めさせるのには十分で。

「…俺もに決まってんだろ、ばーか」

言いながら、あんずさんに、ブランケットをかけてあげた、藤城さん。

その目は、ソファーで眠る、あんずさんしか映していない。

「たまに、すげー、可愛いことぶっこんでくるんで、困るんですよね」 

振り返りながら言う、藤城さんの顔は、心なしか、赤くなっている。