No rain,No rainbow

「おふたりの出逢いは、どんなものだったんですか?」

律さんが藤城さんに聞いている。

「…あ、実は結構前から気になってて。あんず、コンビニでレジをやってて。どうやって声掛けよう?って。それで、3日間朝の8時半から9時までの30分間、店の前のガードレールに座り続けたんです」

なんとか、気づかせたくて。

って、言ってたら今わかったんですけど俺、ストーカーみたいですね。

苦笑いする、藤城さん。

それで、俺の存在を知ってもらって、距離を詰めて、今に至るって、感じですかね。

藤城さんの話を隣で聞いていたあんずさんは、

「…知らなかった…、あらたそんなに前から、あたしのことが好きだったの?」

もー、そんなに前からあたしに夢中だったんだー

そんな照れ隠しがわかる、あんずさんの言葉を聞いた藤城さんは、

「…前も今も、ずっと、だよ」

ちいさく、つぶやいた。

それこそ、あんずさんにだけわかるようなちいさな声で。