「オレが持ちますよ。傘」

「…あ、いや、私、が…」

「いや、でも、ねぇ?この差じゃあ…」

なんて、自分の頭に手のひらを載せた、林檎のひと。

この身長差じゃ、傘がぶつかっちゃいますし、ねぇ?

なんて、少しおどけた表情をしている。

「…あ、すみません、じゃあ」

傘を持つ為に身構えていた右手。

傘を渡したら、こんなにも自由で軽いんだ。

そうか、そうだったんだ。

今までも、重いだとか、痛いだとか、もっと素直で良かったんだ。

総てを受け入れなきゃいけないと思っていたけれど、相手は私を全く受け入れては、くれなかったから。