No rain,No rainbow

「じゃあ、せっかく4人もいるんだから、みんなで準備しちゃいます?」

そんな律さんの提案に、

「いえいえ、俺とあんずでやるんで、おふたりは座っていてください」

そんな、宣言のもと、あんずさんと用意をはじめた藤城さん。

あんず、これ、どの皿に盛り付ける?

あんず、次は何すればいいんだ?

あんず、あれ、どこにあるっけ?

あんず、蓋、開けてやるよ。

あんず、あんず、あんず…

連呼していることを、たぶん藤城さんは気がついていなくて。

それくらい、相手の存在が当たり前になる毎日。

それを想像したら、くすぐったくて、うらやましい気持ちになった。