早速、花瓶にチューリップを活けてくれたあんずさんは、

「モノクロの部屋が、やっと動き出した感じがします」

そう言って、微笑んだ。

嬉しいなぁ。

ちいさくつぶやく横顔が可愛らしくて、きっと、藤城さんはあんずさんのこういうところが好きなんだろうなぁ、と思う。

ワインとオードブルも差し出したタイミングで、鳴ったインターホン。

「…あ、やっと帰って来ました」

言いながら、玄関へ向かうあんずさん。