人生は、不思議だ、と、思う。

あんなに酷い毎日を頑張って過ごしたから、今、報われたのか、今のシアワセをなによりも大切に出来るように、あの辛かった日々があったのか。

もう、どちらでも構わない。

今、この毎日を大切に、決して当たり前だと思わずに、大事にして過ごそう。

決意をして、いちど強くくちびるを結んだ。

「…あ…、」

一瞬走った、鋭い痛み。

真冬でもないのに、割れたくちびる。

「どうしたの?あ!」

私を覗き込んだ律さん。

「真冬でもないのに、あなた。あー血が出てる」

自分ではわからないけれど、血が出ているらしい。

そっと、私のくちびるに親指を這わせて、血を拭ってくれた、律さん。