No rain,No rainbow

律さんを励ましたり、気持ちを少しでも軽くできるように、いっしょにいたいのに、私の方が励まされている。

なんだかこんなのって…

「…律さん、ずるい…」

横目で睨んだ私を、

「なんですか、それ」

全部わかっていて、とぼけたフリをしている。

いつもオトナで、余裕があって、私のほうが確実に好きなのに、それを上回る愛情をくれる。

それはもう、間違いようがないほど「愛」だと、認識させられる。

言葉にして、時には態度で。

あまい声で、痛いほどの感情で。
 
「…律さん、オトナ過ぎるから…」

思わず、呟いた私に、

「オレが男なんだから、オトナで余裕のフリをさせてくださいよ」

私の頭を撫でながら言う律さんは、やっぱり何倍もオトナだ。