No rain,No rainbow

「…ありがとう、ございます…」

穏やかな声が、律さんの胸に押し付けた左耳から響いてくる。

こんなに穏やかな気持ちになれる日がくるなんて、想像もしていなくて。

ずっと、ずっと。

自分はいらない人間だと、思っていたから。

そのことがずっと、心に重くのしかかっていて。

だから、あなたに出逢えて、あなたがオレを見つけてくれて、あなたと毎日をいっしょに過ごせるようになってはじめて、オレはオレを認めてあげられるようになったんです。

あなたにだけ、必要だったらそれで、いい。

あなたさえいてくれたら、それだけで、いい。

それくらい、あなたが、好き、です。

もう、あなたの気持ちをいちいち確認しなくても安心できるのが、嬉しい、です。