必要最低限の暗闇。

すなわち、夕暮れと夜の間くらいの明るさの部屋。

お互いの目の色を認識出来るほど、充分な明かりの下で、お互いの体に触れ合う。

もう、隠すものも隠さなきゃいけないものもなくなった、律さんと私。

おへその左横にぽつんとついているホクロや、足の親指に残るちいさな白い傷。

ピアスホールの数や、たくさん笑った時にだけできる笑いジワ。

そのすべてをお互いに知っている、ふたりきりの明るい暗闇。

その明るさが、私と律さんを繋いでいる。

そこにはぬるま湯のような優しさが溢れている。

ずっとずっと、ふたりきりで浸かっていていい、ぬくい温度、の。