私を見下ろしながら、微笑む律さん。

「…前は…」

「はい」

静かに話しだした律さんの言葉に、静かに耳を傾ける。

「服を脱ぐときは、必ずあなたの目に背中が晒されないようにしていたし、風呂に入る時も、決してあなたが入って来られないようにカギをかけていたし。極力、電気を消してあなたに見られないようにしていて。もちろん、あなた以前に親しくしていたひとにも」

いちどだけ、すごく拒否されたことがあって。

付き合っていたひとなんですけど。

もうずいぶん仲良くなれたし、絆も出来たと思っていたんですけど。

偶然、裸の背中を見られたことがあって。

彼女は、悲鳴を、あげてあとずさったんです。

訳を話そうとした時にはもう、部屋を出ていってしまって。

彼女のバケモノを見るような目が、忘れられなくて。

それからはもう、どんなに親しくなっても絶対に悟られないようにしようと、決めました。