そろそろ、レジを覚えてほしいと言われて、連れてこられた、バックヤード。

実際に使うレジが置いてある。

「ここに商品をかざして、ピッと音がしたら大丈夫です。で、ここに表示される商品名と値段を確認して、最後にここの小計を押す、と」

ゆっくりやれば大丈夫ですから。

「何かあれば僕が、飛んでいきますんで」

なんて、両手をスーパーマンのように突き出すから、思わず笑ってしまう。

「はい。じゃあやってみましょう」

ぱん、と軽く両手を鳴らした店長。

「はい。よろしくお願いします」

緊張しながら、商品をレジに通してゆく。

ぎこちなさが裏目に出て、缶詰が手のひらを滑って取り落としてしまった。

「…すみませんっ!」

焦って、缶詰に伸ばした手は、伸びてきた店長の手が掴んだ。

「…え…」

その手のひらの熱の強さに、思わず手を引いた。

引いたのに、目を合わせたままの店長は、私の手を離してくれない。

「…ちょ…、離して下さい」


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