上半身裸で、ベッドの上で壁を背にしている、律さん。

「律さん。大丈夫です。何があったとしても」

安心させるように、いちど強く頷いた私。

「……、」

そんな、私を仰ぎ見た律さんは、弱々しく笑って、ゆっくり私に背中を向けた。

「ーーー…!!」

息を飲んで、悲鳴を押し殺した。

口に強く、手のひらを押し付けていないと、悲鳴が漏れてしまいそうで、押し付けた手のひらの下で、くちびるを、強く強く噛んだ。

律さんの広い背中はいつも、私を導いてくれた。

優しく、あたたかな背中。

後ろから飛びついてみたり、抱きついてみたりした時には、必ず受け止めてくれた。

考えれば、セックスをするときはいつも、電気が消えていたし、裸の背中を、私に決して見せないようにしていたのだろう。

律さんの、服越しの背中しか知らなかった私。

何も、知らなかった、私…